絶望、そしてその先へ「桜庭一樹 / 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫) (文庫)
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桜庭一樹が一般小説へと進出するきっかけになった本。
子どもが大人になる途中を書いた、とある少女の話。


社会へ自分の力を行使できるような「実弾」をはやく手に入れたい「山田なぎさ」
自分は人魚だと言う「砂糖菓子の弾丸」を撃つ「海野藻屑」

海野藻屑という鍵をきっかけになぎさとその兄、友彦が変わる小説と感じた。藻屑は主人公格のキャラクターというよりまその物語に配置されたコマみたいなイメージ。一応、藻屑となぎさの関係がメインなんだけどね。けど物語の結末をみると山田友彦が裏の主人公ような気がしてならない。


あと愛情と憎悪は近いよね。憎悪すべきところが愛情になってしまう悲しさ。


富士見ミステリー文庫版 p147 より

あたし自身の不幸が海野藻屑とは比較にならないぐらい平凡でありきたりでよくある貧窮なのはもはやわかっていた。そのことはあたしも認めていた。だけどあたし自身のありきたりな不幸と藻屑の藻屑らしい非凡な不幸には一つの共通点があった。あたしたちは十三歳で、あたしたちは未成年で、あたしたちは義務教育を受けている中学生。あたしたちはまだ、自分で運命を切り開く力はなかった。

上の引用の通り自分が読んだのは富士見ミステリー文庫のほう。Amazonの在庫を見ると今はもう版を重ねてないのかな?
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫) (文庫)
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それと杉基イクラさんが書いた漫画もオススメ。小説苦手って人はこっちから入ってもよし。
そしてこの色はインパクトある。
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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 上 (コミック)
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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 下 (2) (コミック)
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作者サイト
桜庭一樹オフィシャルサイト Scheherzade - Entrance

Wikipediaリンク
桜庭一樹 - Wikipedia 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない - Wikipedia